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上巳の節句

まだまだ寒さの厳しい二月中頃。
毎年上巳の節句が近づいてくると、母と姉と一緒に、七段飾りの雛人形を飾るのが楽しみでなりませんでした。
ひとりひとり、一つ一つ箱に入っているので、『この箱だれやろ?』と開けては、『いやー三人官女やわ』とか『いやー⤵ただの長持ちやわ』なんて言いながらワイワイ。
お雛様が出てくるとテンションはマックス。
こんなにきれいな着物を着て、こんなに美しいお道具を持って、こんなに御付きの人を連れてお嫁に行くお姫様(お雛様)が羨ましくって羨ましくって!
『わ~~ほんまお雛様ってええなぁ♡』とうっとり♡
いつか自分もこんな風にお嫁に行くのかしら♡とまだまだ夢いっぱい希望いっぱいの娘っ子の時ですから、空想しながら並べていく作業は至福の時間でした。
といいつつも、私にとってお雛様は、特別な意味を持つものという意識はなく、バービーちゃん、リカちゃん、シルバニアファミリーに並んで私のお気に入りのお人形遊びの一つで、年に一度許されるこの期間がたまらなく楽しみなものでした。
でも三月三日が終わるとすぐに『はよ仕舞わなお嫁に行くのが遅なるえ!』と母に急かされ、次の日かその次の日くらいには片付けをまた母と姉と私の三人でするのですが、これがまた退屈な作業で、もう遊べなくなる寂しさと、
つまらなさでふくれっ面でやっていたことと思います。。。

あの雛人形たちを全て、人形供養のお寺に母が持って行って供養してもらったのだと、私がお嫁に行って何年も経って聞かされました。
私には兜や鯉のぼりが実家から届くばかりでしたので、忙しさにかまけて自分のお雛人形のことなど思い出しもしなかった申し訳なさと、ちょっと相談してくれれば私が引き取ったのにと母に残念な思いが残りましたが、
今となっては、母と姉の三人でお雛飾りを飾る時間が愛おしく、私にとって大切な時間だったなと思います。
今、私がこうやって平穏無事でいられることも、もしかしたらあのお雛人形が私の役を引き受けてくれたからなのかもしれません。

私には上巳の節句をお祝いする娘はいないけれど、皆の穢れを払い、家族がこの先も健康で安寧な日々を送れますように
祈りを込めて
鰻ちらし寿司をお雛様のお飾りにしてみました。

十二単とはいきませんが、うす衣は薄焼き卵衣と蓮衣、白板昆布衣を三重に纏わせて


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